ふぁっしょんぐるめ 10
The eating out diary 10





とうちゃく
はるばる来てしまったかねてからの悲願の地。
単線の電車を降りると向こうには山が、思えば遠くへ来たものだ。
来たいと思いつつも機会に恵まれず、ダメかとあきらめかけたときもあったがやっととりつけたデートのように今日は家を出るときから少し浮き足立っていた。
足元には現在はホームセンターで売られている木の枕木が。
「木の枕木」なんてことわらなければならないほど、コンクリートが幅を利かせている今だから、よりレトロっぽさを演出してくれている。


せんろ
線路の向こうに家がある。
ただの家ではない。
そこへ行くには線路を横断しなければならない。
しかし、その前には踏切が無い。
線路の高架化が進んで踏切を渡ることもめったになくなってしまったのに、いまどき踏切も無いただの線路を横切るのは何とスリリングなのだろう。
緊張してつまづいて、そこにめったに来ない電車がやってきて、、
不運がそこまで重なれば逆にマイナスとマイナスが転じてプラスになるような気がする。
ここまでこられただけでもラッキーというような。
それはおおげさか。 だってもし事故ったら海外旅行に行って現地の空港で引き返すようなもの。楽しみはこれからなのだから。


にほんかおく
線路を無事に渡り終えた。
いや、ここはまだ線路の端なのでうかうか写真を撮っているとやってきた電車にどつかれるかもしれない。
生垣、石畳、松の木、いつしか街から消えた日本の姿。
前奏曲の盛り上がりともいえるだろう。
このコーナーは、ふぁっしょんぐるめ である。
なのでここももちろんレストランである。
誰かの家ではない。 元誰かの家である。
立派な門をくぐり、細めの格子のガラス戸を開けると上品なおもてなしで予約時間のだいぶ前についてしまったのだが問題なく席に案内された。
典型的な日本家屋のため段差のある玄関で靴を脱ぐのか迷ったがそのままということでホッと安心してフローリング敷きの店内に上がる。



ぜんさい
寒かったので温かいスープを注文。
沖縄産のにんじんはほのかな甘さと青臭さを出して味のアクセントになっている。
グラタンとかクリームシチューとかホワイトソース系は苦手なのだがこれはおいしく食べられた。



めいん1
次は魚料理。
名前は忘れたが上品な白身が重過ぎず軽すぎず。
ソースも何かの葉を混ぜている。
これだけがメインだと女性でも物足りないくらいの上品な量だったのでメインを二種類頼んでよかった。
飾りの無い食器は料理を引き立て、そしてシンプルな店内の装飾もよい。

めいん2
次は肉料理。
あれ、見ためは豚の煮込み。
食べてみたらこれが味噌味で、沖縄名産のれっきとした日本料理。
しかしパンでもさほど違和感なく食べられてしまう。
フォークで楽に切れるほどコテコテに煮込まれている家庭では作りづらいもの。 こういうものが外食の楽しみである。


でざーと
こってりのメインの後は、あっさりのアイスにフルーツに、ケーキ(というのかな)を少し。
メインの二皿とおなじ食器であるが、全然気にならない。
むしろそれでいいくらい。


にわのふうけい
座席より庭を見ながらゆっくり食事。
昔ながらのガラス戸からのすきま風が気になるので、もう少し暖かくなってからの方が庭も色づいて楽しい食事になるだろう。
しかしそんな時期でも席が少ないせいか、月の半ばでその月の予約が埋まってしまう状態だそうな。
庭を見ながらの食事中、予約無しでふらっと訪れた何組かが追い返されて帰るのを見た。
性格悪いが、ちょっとした優越感にひたってしまう。
この雰囲気、おいしい料理が追い討ちを掛けて。

しかしこんな隠れ家的レストランも「そっち系」雑誌の取材を受けたようで、それが発売される3月からはたぶんこの雰囲気が騒々しくなり、もっと予約を取るのが困難になるのではと心配である。
今度はいつ来ることができるのだろう。


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